2009年 11月 27日
冬の眠りの前に |
吉祥天は猫氏の一番愛する植物です。世界で最も美しい植物と呼ばれるアガベの中でも際立って美しく、人気もあります。粉を吹いたような青磁色の肌の魅力に、趣味家は引きつけられるのでしょう。数年前までは、園芸業者が競ってこの吉祥天を手に入れようと訪ねてきました。アガベは生長が遅いので、これだけの大きさの物は、国内で揃えようとしてもなかなか集まらないようです。日本国中探してまわっても、猫氏の温室が一番充実しているそうです。吉祥天が特別なほど人気があるのは、美しいだけではなく、その名前の良さも理由のようです。以前、神宮前のオシャレな花屋さんで、さほど大きくもない吉祥天が驚くような価格で売られていました。素敵な植木鉢に入って、0が5コもあったように記憶しています。景気が陰を落としてくると、途端に業者達の足も遠のいてしまいました。その当時、大きな物は随分手放してしまったので、大物の数は減ってしまったのですが、その時の掻き子たちが、また成長してきました。冬の眠りにつく前にもう一枚、内張のビニール布団を掛けてやると、春迄のしばらくの間、温室の中でお休みです。吉祥天やフレキスピナの葉の形を見ていると、零下数十度の南極の氷原で吹きつけるブリザードの中、卵を温めるために身を寄せ合うコウテイペンギンのオスの姿を思い浮かべます。真冬にビニールを通して見るアガベはコウテイペンギンの発するエネルギーのような暖かい生命の湯気に包まれて見えます。そして唸るような命の歌が、低い合唱となって聞こえて来る気がするのです。
by kakoneko-nyan
| 2009-11-27 23:50
| 庭